大手出版社がスマートフォン向けの縦読み型漫画「ウェブトゥーン」の制作に本格参入する。集英社と小学館が専門部署を初めて設立、KADOKAWAは2022年度に約160作品を投入する。ウェブトゥーンは見開きの紙面を想定した従来型の漫画に比べ、小さなスマホの画面でも読みやすい。若者の人気を集めており、新たな市場を開拓する。
集英社は3月下旬にウェブトゥーン専門の編集部署を設立した。これまで実験的に制作を重ねてきたが、態勢を強化する。小学館も昨年10月に専門部署をつくり、今夏をめどに10作品を漫画アプリで公開する予定だ。
ウェブトゥーンは4こま漫画のように、こまを縦方向に一続きで並べており、スマホで軽快に読み進められる。全面カラーのため、従来型の漫画に比べ制作にコストや手間がかかる。小学館の鳥光裕チーフプロデューサーは「(集団分業体制の)制作スタジオを内製化し、迅速かつ安定的に作品を作りたい」と話した。
大手ではKADOKAWAが先行する。昨年8月に新レーベル「タテスクコミック」をつくり、22年度に投入する作品数は前年度の2倍超となる。青柳昌行執行役員は「漫画にあまり関心がなくても、ウェブトゥーンなら読む若者は少なくない」と語る。