現在の日本経済は、コロナ・ショックからなかなか立ち直らない中、ロシアによるウクライナ侵攻が発生し、世界経済の低迷という新たなショックに直面している。
日本への直接の影響はエネルギーや特定原材料の不足、それに伴う価格の上昇だ。
いま日本に求められるマクロ経済政策とミクロ経済政策は何か。それぞれ考えてみよう。
マクロ対策であるが、基本はシンプルだ。供給が需要を上回る「GDPギャップ」を埋めるような有効需要を作り、失業率を高めないようにすることだ。
完全雇用を達成するためのGDPギャップについて、筆者は30兆円以上と推計しており、この観点から補正予算が必要となるが、その規模は真水で30兆円以上だ。これを怠ると失業者が増えてしまう。
今国会における補正予算について、2兆7000億円規模と発表された。予備費執行で対策をやり過ごそうとしていた自民党と、補正予算が必要との立場の公明党の間の政治的妥協の産物のようだが、正直いって規模が一桁少ない。
一方、日本の防衛費はGDP比1%台で、世界150カ国中121位と先進国の中ではかなり低い。この増額を今国会の補正予算で手当てする手もあったのではないか。昨年の補正予算で防衛費を盛り込んだこともあるのでその例にならえばよかった。