
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が、がんなどの病気を抱え、手術を控えている可能性があるとした米英メディアの報道が波紋を広げている。手術中には短期的に側近に権力移譲するとの見方もある。9日には対独戦勝記念日を迎えるロシアだが、ウクライナ侵攻は泥沼化し、内政にも混乱の兆しがみえる。トップシークレットとされる最高権力者の体調問題が命運を分けるのか。
プーチン氏の病状については、ロシアのSNS「テレグラム・チャンネル」で明らかにされた。英大衆紙デーリー・メール(電子版)によると、クレムリン(大統領府)の有力者が情報源だという。
報道では、プーチン氏は1年半前から腹部のがんとパーキンソン病に罹患(りかん)していると報告されたほか、幻覚や躁(そう)病、統合失調症の症状を伴う障害もあると伝えた。医師が4月下旬にがんの手術を受けるように勧めていたが延期されたという。今月9日の「独ソ戦・戦勝記念日」まで手術を避けたとの見方もある。
「今回の情報は信憑(しんぴょう)性が高い」と語るのは、ロシア政治に詳しい筑波学院大の中村逸郎教授。
プーチン氏について「かつては民衆と家庭料理を楽しむ様子などもよく伝えられたが、最近は水や紅茶、食事をとる様子も見られなくなり、食事制限を受けているとの見方もできる。2019年のG20(20カ国・地域)大阪サミットでも各国首脳が赤ワインを飲む中でマイボトルを持参したことがさまざまな憶測を呼んだ」と語る。