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脚本家の三谷幸喜さんは、今回のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で、重い決断を2つされた。
1つは、役者さん全員に、現代日常会話風の「せりふ回し」をお願いしたこと。2つ目は、「これまでの源義経像の見直し」を敢行されたことである。
義経はこれまで多くの日本人の間で、変わることのない「悲劇のヒーロー」であり続けた。義経は極めて優れた軍事的才能を持つ武将で、それは誰もが認める。彼だからこそ、「平家の天下」を潰すことができた。
しかるに、兄の源頼朝は義経のしたことを評価しない。あいさつに鎌倉に入ることさえ許さないのである。嫉妬心の極めて強い頼朝のひどいいじめと、それにひたすら耐えるかわいそうな義経…。日本の善男善女の胸に残るのは、この構図であった。
巷間(こうかん)、「判官びいき」なんていう言葉さえ生まれたりもした。日本中の「頼朝アゲンスト」の風の中で、三谷さんは今回、その「義経像の見直し」を敢行された。鎌倉殿には彼なりの、「そう対応せざるを得ない言い分」があるとおっしゃりたいのだろう。
1180年10月、頼朝は奥州から駆け付けた義経と、黄瀬川の陣営で初対面を果たす。お互い、涙を流して喜びあった。ちょっと前の放送では、義経が木曽義仲との戦に総大将として出発する日、頼朝は義経に、勝って帰ってきたあかつきには、一度ゆっくり話そうと声をかけていた。