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ハリウッド女優を代表する大スターで、映画界、ファッション界の伝説的存在として知られるオードリー・ヘプバーンのドキュメンタリー映画が公開中だ。
戦時中、オランダで飢えに苦しんだ冒頭のエピソードを見れば、ナチス占領下での悲惨な体験が、彼女の人生を決定づけたのが分かるだろう。第二次大戦が始まったとき、10歳だったヘプバーンは戦後、バレーダンサーの道をあきらめ、映画スターへの階段を上っていくが、その過程はスクリーン上の華やかなイメージとは裏腹に、結婚生活と子育てのはざまで悩み続けた苦難の人生だった。
少女時代に両親が離婚した際、父親に見捨てられたという記憶が、ナチス占領下で栄養失調となった時期とともに、彼女の生き方にさまざまな形で影響を与えていく。
常に仕事より家庭生活を優先させたのは、幼少期の不幸な境遇のせいだが、それがむしろスクリーンに映し出される彼女の魅力となっていたのが興味深い。妖精のようなかれんな美しさ、スターとは思えない飾らない人柄はつくられたものではなく、素顔の本人自身だった。