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福島、栃木、群馬、新潟の4県にまたがる尾瀬国立公園で、一部トイレを管理する尾瀬保護財団(前橋市)が、利用者からのチップの回収に苦慮している。使用後に100円を払ってもらう仕組みだが、回収率は3割程度。昨年から協力を求めるポスターを一新するなど試行錯誤。夏の登山シーズンを前に、担当者は「環境を守るにはコストがかかることを知って」と訴えている。
公園内には18のトイレがあり、このうち2カ所を財団が管理。下水がなく汚物は乾燥処理を施し、定期的にヘリコプターで搬出、年間約1000万円の管理費がかかる。「とにかく周知を」とトイレに5枚ほどポスターを貼った時期もあったが、コロナ禍で入山者が減った影響もあり、収入減は止まらなかった。
財団は行政の政策づくりなどを支援するNPO法人と連携し、昨年8月にポスターを全て撤去した上で新たなPR方法を20日間ずつ試した。有効だったのが、子供がこちらを見つめる写真を箱に貼り、「任意」を連想させる「チップ」の文字を小さくする作戦。集金額の平均は1人当たり34・8円と、何もしない場合と比べ10円増えた。
今年は見やすい位置に子供の写真を貼るなど、効果が上がる方法を検討。財団の石井年香事務局長は「訪れた方の背中をそっと押すような周知方法を考えていきたい」と話している。