デジタル化はこれにとどまらない。「口腔内スキャナー」という最新のカメラ(ビデオ)も登場した。
「患者さんがもっとも苦痛を感じる『口の中の型どり』を、口腔内スキャナーなら苦痛なく撮影できます。このスキャナーは、口の中全体を2~3分で撮影し、3次元画像データとしてコンピューターに送信します。迅速で苦痛もなく、感染防止にも有用です」
口腔内スキャナーはインプラント治療にも使われている。「断層画像検査データと口腔内スキャナーで撮影した3次元画像データから骨の状態を詳細に評価し、安全なポジションに埋入手術を行うことができます」
さらに既製品のインプラントを使用し、上部構造(インプラントの上にかぶせる冠など)もジルコニアの材料を用いて歯科用CAD/CAMシステムによって製作する。すべてデジタル機器で治療を行っていくことができ、この一連の流れは、「フルデジタルソリューション」と呼ばれている。
ただ、残念ながら口腔内スキャナーは国産製品がなく高価なため、現在は日本の歯科医院の約10%程度しか保有されていない。「国内でも製品化され保険診療に導入されれば、一気に広がることは間違いありません」と末瀬氏は期待する。
歯科医療にこのような本格的なデジタル化の波が到来することを予測して、末瀬氏は早めに動き出していた。