ロシアの地位低下に伴って注視されるのは、「G20の中で中国とインドが発言力を増す可能性がある」(中村氏)ことだという。
インドは日本と米国、オーストラリアの戦略的枠組み「QUAD(クアッド)」の一角を占めるが、旧ソ連時代から武器の提供を受けてきた経緯もあり、対露制裁には及び腰だ。
こうした中、中国の王毅国務委員兼外相は3月末、インドのジャイシャンカル外相と会談し、関係改善を模索したと伝えられる。
中村氏は「中印関係もプーチンの対欧米の『重し』だったが、今はロシアが完全に孤立化した。中国も経済衰退や巨大経済圏構想『一帯一路』の戦略上もインドの重要性が増してくる。インドはクアッドの一員でもあり、中印両国の関係が重要になってくる」と指摘する。
冷戦時代から「非同盟」を貫いてきたインドは、西側諸国だけでなく、中国やロシアにとっても一筋縄ではいかない相手だ。
ロシアの失敗を機に世界の勢力図が塗り替えられようとしている。プーチン氏自身が大国ロシアの幕引きを速めてしまったようだ。