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ロシアによるウクライナ侵攻を受け、日本でもロシアの脅威が指摘されている。こうしたなか、歴史研究家、中村恵子氏の新著『江戸幕府の北方防衛』(ハート出版)が注目される。江戸時代の蝦夷地での対露防衛を紹介する1冊で、現代日本への教訓も含まれている。
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「江戸幕府はロシアの脅威に対し、松前藩や東北諸藩に命じ、防衛した事実はあまり知られていない」と中村氏は語る。
江戸時代、ロシアは日本に通商要求を行い、両国間の国境問題などがたびたび発生した。1806年に択捉島で、07年に樺太でロシアが略奪を起こすと、幕府は、蝦夷地などを統治する松前藩を現在の福島県伊達市に国替えし、蝦夷地、千島、樺太を直轄地として、東北4藩に警備させた。
11年、幕府が南千島沿岸の測量に上陸したロシア艦長を捕縛し、翌年に報復として日本人が連行される「ゴローニン事件」が起きた。幕府はロシアに陳謝状提出と略奪品、人質の返還を要求し、実現した。
事件解決後、幕府は警備を2藩だけにし、21年に松前藩を蝦夷地・樺太・千島統治に戻す。幕末に箱館を開港すると、防衛のため再び蝦夷地・樺太・千島を直轄地として、東北6藩に分治警備させた。