4回にわたって帯状疱疹治療と予防の名医を特集してきたが、その最終回は東北文化学園大学特任教授の渡辺彰医師。
医学部の学生時代に公衆衛生の自由研究で抗菌薬に関する調査研究をしたところ、リポートが高く評価されて論文化された。そうしたことを背景に「抗菌薬」「感染症」の世界へと足を踏み入れることになった。
東北大学の抗酸菌病研究所に所属し、呼吸器内科医としての臨床に携わってきた。特に予防医学に力を注ぎ、インフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンの普及啓発に取り組んできた。東北文化学園大学特任教授と宮城県結核予防会理事長の重責を担ういまは、これに「帯状疱疹ワクチンの普及」が大きなミッションとして加わっているのだ。
帯状疱疹のワクチンには、生ワクチンと不活化ワクチンの2種類がある。「生」に比べて「不活化」は効果と効果の持続期間が長いとされていて、アメリカでは不活化ワクチンのみが使われている。
高齢者が帯状疱疹にかかると、発症時の痛みもさることながら、一定の割合で重篤な神経痛が残る。このつらさはなった人にしかわからないものだが、生活の質が大幅に下がる。しかし、問題はそれだけではないという。