政治的に対立する中国からの圧力、コロナ禍…。台湾映画界も香港の映画事情と似て製作環境は逆境下にある。だが、「現状は厳しいが打開策はある」と台湾の巨匠、ホウ・シャオシェン監督直弟子の気鋭、ホアン・シー監督は力強く言い切った。
大阪アジアン映画祭で3月、世界初上映された新作「縁起良き時」(第1話)は米配信大手「HBO」制作の全7話のドラマの〝特別劇場版〟だ。
架空の街「太平市」で起こる7日間の不思議な物語。「プロデューサーと相談しながら構想を練りました。脚本は長編映画2~3本分の長さになりました」とホアン監督は説明する。プロデューサーは師匠のホウ監督だ。
「配信ドラマの制作は初ですが、コロナ禍で映画館が閉鎖される中、オンラインで鑑賞できるのは強み。作り手にとって上映形態に関係なく撮り続けることが重要」と語る。一方で「映画祭で上映したのは音も色も大スクリーン用に作り直した劇場バージョン。見応えがあったでしょう」と劇場公開への〝こだわり〟も忘れてはいない。