3月の素原材料は同51・0%増、中間財は同16・4%増、最終財は同4・1%増だった。そして同月の消費者物価指数総合は同1・2%増と、川下ほど転嫁できない状況が明らかだ。
4月の消費者物価指数総合は、携帯電話料金の値下げ効果がなくなったことで、大きく上昇した。しかし、GDPギャップが相当程度あるので、今後も4%にはなかなか届かないとみられる。そしてインフレ率の基調となるエネルギーと生鮮食品を除く指数は当分の間、2%にもならないだろう。
1973年と79年には、消費者物価は企業物価に追随したので、今回も追随してインフレになるという意見もある。
しかし、現状のGDPギャップを見るかぎり、需要不足は広範な業種にあると考えられる。そうした業種では、エネルギー・原材料価格の上昇があっても消費者価格への転嫁ができずにコストアップの影響をモロに受ける。
転嫁がうまくできるような環境作りが必要だが、まずは最終需要が増えるような有効需要を作らなければいけない。その際、エネルギー・原材料価格の上昇が原因なので、それを緩和するために、ガソリン税減税と個別消費税の減税(軽減税率適用)が適切な対応策になるが、岸田文雄政権では補正予算がショボすぎて、そうした対策ができていないのが残念だ。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)