4月の企業物価指数が前年同月比10%上昇の上げ幅となった。企業物価指数は、日銀が公表している企業の間で取引されるモノの価格を示す指数で、企業の仕入れ価格や卸売価格が対象だ。
1960年以降のデータがあり、前年同月比をみると、2度のオイルショックがあった1973年3月から74年12月までと、79年11月から80年12月までの期間は10%超の上昇率だったが、今年4月はそれ以来の上げ幅となった。
本コラムでは、30兆円程度以上のGDPギャップ(総供給と総需要の差)があるので、エネルギー・原材料価格の上昇があっても、なかなか消費者物価に転嫁できないということを書いてきた。
18日に公表された1~3月の実質国内総生産(GDP)速報でも、年率換算で1・0%のマイナス成長なので、まだGDPギャップはある。さらに、企業物価の中身をみても、消費者物価への転嫁ができないとの主張は変わらない。
企業物価統計には「需要段階別・用途別指数」がある。これをみると、「素原材料」は前年同月比65・5%増、「中間財」が同18・0%増、「最終財」が同4・9%増だった。要するに、物価を「川上」と「川下」に分けると、消費者物価指数が最も「川下」で、企業物価指数は「川上」だ。その企業物価指数の中でも、素原材料が最も川上、その次に中間財、その下が最終財となるが、一番川上のエネルギー・原材料価格が上がっても、川下に行くほど、価格転嫁ができないことを如実に物語っている。