ITジャーナリストの三上洋氏は「あくまで互換モードなので、サポート終了の前にIEモードで問題なく機能するかテストする必要はある」と指摘する。
ただ、IEモードについてもマイクロソフトは29年をめどにサポート終了を発表していて、あくまで応急処置になる。組織のシステム部門は、近くIE以外のブラウザに対応した仕様に変更する検討を求められそうだ。
ソフトウエアのテストや品質向上支援を手掛けるバルテスは21年9月、同社が提供するサービスの会員241人に対する調査結果を公表した。所属組織のIE終了後の移行措置について、42%が「現在対応中」、15%が「まだ対応を始めていない」と回答。「対応完了」の回答は16%にとどまった。
ある企業の情報システム部門に勤務する女性は「以前、社内システムの刷新で全社に向け簡単な更新作業を依頼したところ、各部門から問い合わせが止まず戸惑った。エッジへの切り替えで同様の混乱を生まないか不安はある」と明かす。
日本は今も海外と比べてIEへの依存度が高い。ウェブ解析サイト「StatCounter」が公表するブラウザのシェア率をみると、22年4月現在、IEは世界全体で0・39%だが、日本は1・79%だ。
「一部の企業や自治体の内部システムが依然としてIE向けの仕様のまま更新されていないのではないか。サポート終了に伴うトラブルで問題が表面化する恐れもあるだけに、マイクロソフトも強く注意を呼び掛けている」と前出の三上氏。
一刻も早い対応が求められる。