米国のジョー・バイデン大統領が来日し、岸田文雄首相と23日、対面による初の日米首脳会談を行った。今回の訪日で、米国がインド太平洋への関与を強化し続けることを力強く示したことを評価したい。
会談のテーマは多岐にわたるが、岸田首相が共同会見で述べたように、重要な意義は2つある。
1つは、ロシアによるウクライナ侵略に直面し、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を断固として守ること。もう1つは、インド太平洋地域の平和と繁栄確保が、国際社会の最重要課題であることを確認したことだ。
また、バイデン大統領が、米国の主導するアジアで初めての経済連携である「IPEF(インド太平洋経済枠組み)」の立ち上げを表明し、岸田首相もこれに参加して協力すると応じるとともに、米国にTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)への復帰を促した。経済のみならず安全保障の観点からも、この機会を活かすべきである。
24日には、日米両首脳に、インドのナレンドラ・モディ首相と、就任したばかりのオーストラリアのアンソニー・アルバニージー新首相を迎えて、4カ国による戦略的枠組み「QUAD(クアッド)」の首脳会合が開催される。
ここでは、日米首脳会談の成果をもとに、4カ国が連携を強めることが重要である。ロシアと関係が深く、中国と国境紛争を抱えるインドや、労働党に政権交代したオーストラリアが、「自由で開かれたインド太平洋」の秩序を保持していく協力関係を確認することが期待される。