私の古巣、阪神は依然リーグ最下位と厳しい戦いが続いています。今季限りでの退任を表明した矢野燿大監督(53)に代わる新指揮官の報道もちらほら目にする機会が増えてきましたが選手同様、次代を担う指導者の育成は急務です。
矢野監督は1、2軍両方での指導を経て1軍監督に就きましたが、ファーム監督はわずか1年だけで戦力を見極める目を養うには時間が足りなかったとも思います。理想はヤクルト、西武のように球団主導で将来の1軍監督を先に2軍指導者として経験を積ませること。2軍監督時代のうちに将来、チームの核となる選手を見つけ出して「一緒に上へ行くぞ!」と声をかけて引き上げるのがベスト。最近ではオリックス・中嶋聡監督と杉本裕太郎選手がこのパターンでハマりました。
一連の報道では現在40代前半の鳥谷敬氏、藤川球児氏も候補に挙がっています。私も現役を終えて指導者を始めた当初は「外から見ている雰囲気や感覚と全然違うぞ…」と戸惑いました。1軍指導者は打席やマウンドでの結果以前に選手を成功へと導くためにまずは自分の話を聞いてもらうことから始めます。2軍は人間形成の指導も加わります。評論家で活躍し、監督やコーチで入閣した途端「思っていたのと違うやん」では取り返しがつかなくなる。もしも球団が将来、トリや球児に指導者を託すなら最低3年は2軍で経験を積ませるべきだと思います。