とうとう、「新・悪の枢軸―中国、ロシア、北朝鮮」が、わが国への『武力による威嚇』の色合いを濃くしてきた。私たちも覚悟を決めるときがきたともいえる。24日、中露の爆撃機が日本周辺を編隊飛行したのに続き、25日には、北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射したのである。同じ25日に、航空自衛隊と米軍が日本海で共同飛行を行ったのはむろん、中露朝への〝対抗〟の意思表示だ。
いま「すでに有事」と認識すべきだが、永田町には選挙ムードだけが漂う。
「いまが『有事』との認識のある議員はどのぐらいいるのか」という筆者の問いに、自民党重鎮の一人は、「がっかりさせて申し訳ないが、わが党でも半数いないと思う」と眉を曇らす。
「そんな状況で、最初の一発がわが国に着弾したときの対応は大丈夫か」と問うと、「防衛当局は、常にあらゆる事態のシミュレーションをしている」という短い答えが返ってきた。
もちろん、中国やロシアも不用意に「最初の一発」を撃つほど馬鹿ではない。「日米が制空権を奪われない限り、空爆などできるわけもない」と、怖がる国民を嘲笑(あざわら)うような「専門家の見解」もある。
しかし、ウクライナで起きたことを見れば、訳知り顔の「専門家」の「見立て」をあまりあてにすべきでないというのが教訓だ。今後、中露がより頻繁に「威嚇」を繰り返すようになるだろうことは間違いない。