10年以上、汁なし部門で他の追随を許さない大人気・高評価なのに「今年いっぱいで閉店する!」と宣言してしまったお店、それが「ajito ism」だ。
経歴を振り返ってみる。2007年7月、「ajito」として東京・大井町にオープン。イタリアン出身のシェフ(店主や大将という呼び方よりこの呼び方が似合う)は、経歴を生かし、なおかつ狭い厨房(ちゅうぼう)で何ができるかを考え、新機軸である「ajitoのつけ麺」を発表。それは大根・ニンジン・玉ねぎ・セロリ・フレッシュトマト・にんにく・ショウガなど野菜のとろみと背脂・鶏ガラ・魚介だしをブレンドした醤油味のスープ。これが後に「ベジポタ」と呼ばれる「先駆者的な存在」となる。
他店に影響を与え、広めていったきっかけとなったという点では元祖ベジポタと言ってもよい。(「せたが屋雲」は早過ぎて誰も追随せず)
隠れ家的な店舗の存在と「個性的なシェフ」、そして他にはない味が受け、人気になっていた。その後、トマトやバジル、チーズなどを加えた洋風仕立ての「つけ麺ロッソ」や、店のバリューを決定づける「ピザソバ」を発表。それはトマトなど多種類の野菜を煮込んだソースにチーズやミックススパイスを加え、具のサラミやアンチョビ、チーズを混ぜ込んで食べる和洋折衷の麺料理。まねできそうでできない至極の逸品。