第一次世界大戦後のイギリスを舞台に、名家の子息とメイドの秘められし恋を描く。原作は、ブッカー賞受賞作家グレアム・スウィフトの「マザリング・サンデー」。監督は「バハールの涙」のエヴァ・ユッソン。27日公開。1時間44分。
イギリス中のメイドが里帰りを許される〝母の日〟。ニヴン家に仕える孤児院育ちのジェーンは、数年前より秘密の関係を続けてきたシェリンガム家の跡取りポールから誘いを受ける。誰もいなくなった屋敷で心ゆくまで愛し合った後、ポールは婚約者が待つ会食へと、急いで駆けつけるが―。
【ホンネ】後に作家となったジェーンが、回想する形で物語がつづられる。当時の上流階級の優雅な暮らしぶりにため息が漏れるが、そこにも戦後の暗い喪失感が漂う。忘れ得ぬ運命の〝あの日〟は、彼女の人生をどう変えたのか。甘美な愛の日々に絡め、女性の自立や選択を描き込み、後味が深い。 ★★★☆(映画評論家・折田千鶴子) ★5つで満点、☆=星半分