米国社会と同じく、大リーグでも根強くはびこる人種差別問題。先日はヤンキースのジョシュ・ドナルドソン三塁手が黒人選手に対し不適切発言。アーロン・ブーン監督も「一線を越えていた」との見解を示した。
古くは大リーグ草創期に「球界のゴッドファーザー」と呼ばれ、初の通算3000安打を放ったキャップ・アンソンが白人至上主義者として有名。歴代1位の生涯打率・367を誇る〝球聖〟タイ・カッブも黒人への人種差別主義者だった。
1920年初代コミッショナーに就任したケネソー・マウンテン・ランディスも球界発展に貢献したが人種差別主義者として知られ、44年の死去まで黒人にプレーする機会を与えず。ア、ナ両リーグMVPの盾から彼の名前が消された。
61年当時ツインズのカルビン・グリフィス・オーナーは本拠地移転を成功させた功労者。ただし、彼もまた人種差別主義者であり、殿堂入りロッド・カルーに対し「とんでもない愚か者」と発言。黒人への偏見をあらわにし、銅像が撤去された。
87年にはⅤ9巨人の参考書「ドジャースの戦法」の著者、アル・キャンパニス副会長があるテレビ番組で「黒人監督が少ないのは彼らに何らかの資質が欠けているためだ」と発言。黒人に対する差別発言の責任を取って辞任させられた。
85年レッズの女性オーナーとなったマージ・ショットも度重なる差別発言。大リーグ機構は深刻に受け止め、98年に業務停止命令。翌年には強制的にチーム売却を命じ、球界から追放。地元シンシナティ大の球場からも名前が削除された。