今年に入って大陸間弾道ミサイル(ICBM)を含む、ミサイル発射を連続させている北朝鮮に対する、国連安全保障理事会常任理事国内の立場が明確になった。26日の安保理で、米国作成の対北制裁決議案が、中国とロシアの拒否権行使で否決されたのだ。北朝鮮の核・ミサイル開発が止まらない危険性がある。中国とロシア、北朝鮮を「新・悪の枢軸」と指摘する声もあり、米国は独自の制裁を発表した。
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「安保理にとって失望の日だ」
リンダ・トーマスグリーンフィールド米国連大使は、こう語った。
米国の決議案は、北朝鮮への原油供給量の削減や、北朝鮮傘下のハッカー集団の資産凍結を盛り込み、禁止対象のミサイルを「核兵器を運搬できる運搬システム」全般に拡大していた。2006年以降、北朝鮮の核・ミサイル開発を防ぐ決議が否決されたのは初めて。
安保理では2月にも、ロシアのウクライナ侵攻に対する決議案が否決されている。
自民党の世耕弘成参院幹事長は27日、中露による拒否権行使について、「安保理が機能不全に陥っているとしかいえない」と切り捨てた。