米国南部の地方都市を本拠地とするチームに、全米の注目が集まっている。その名はサバンナ・バナナズ、大学生の混成チームである。
春学期の期末テストが終わる5月下旬から8月いっぱいにかけての夏休み期間、シーズン制が徹底されている米国では(中高大とも)部活動としての野球はできない。当然、学校同士の対抗戦もできない。ということで、プレー機会を求める学生、MLBのスカウト、空いているスタジアムにビジネス機会をうかがうビジネスマン、地域に娯楽を提供したい自治体の思惑が合致し、学生による混成チームによるリーグ戦、通称サマーリーグが全米各地で開催されている。ジョージア州サバンナ市を本拠地とするバナナズは全米に88あるサマーリーグのひとつ、コースタル・プレイン・リーグ(CPL)に所属するチームなのだ。
2016年創設の小さな町の学生混成軍の動向をMLBもが追っているのは、その斬新な試合方式(ルール)が野球界の積年の悩み(間が長い、動きが少ない)に対するソリューションを示唆しているからである。「バナナ・ボール」と命名された新機軸の概要は以下である。
①マッチプレー方式。イニングごとの勝敗を競い合い、最終的に勝利したイニング数が多いほうが勝利。ゴルフの18ホールに対して野球は9イニングだから、たとえば初回から5イニング連続で勝てば5&4である。延長戦もある。