ジャーナリストの櫻井よしこ氏と、自民党の高市早苗政調会長による共著『ハト派の嘘』(産経新聞出版)がベストセラーになっている。ロシアのウクライナ侵攻を受け、国際秩序の根幹が大きく揺らぐなか、日本人の危機意識は低い。現状に潜む危険から目をつぶる「ハト派」の存在とは。これで祖国・日本を次の世代に引き継げるのか。櫻井氏に聞いた。
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「戦後日本はハト派主流で、話し合いや経済力を重視してきました。ただ、世界は大きく変わりました。日本も1日も早く変わらなければなりません」
櫻井氏は言い切った。
ロシアや中国という専制主義国家によって、「力による現状変更」という脅威が現実となっている。
櫻井氏と高市氏は同書で、「『戦後』が砕け散った」として、憲法9条や専守防衛に固執する「ハト派」を批判する。日本の防衛力強化や台湾有事の対応もテーマだ。
欧州諸国はすでに覚醒した。ドイツでは、左派主導のオーラフ・ショルツ政権が「国防費の大幅増額」を発表した。
櫻井氏は「欧州各国をみると、国民が『自分の身をどう守るか』と切実な思いを抱いています。日本はそこに行き着いていません」と語った。
ジョー・バイデン米大統領は先月の日米首脳会談後、「台湾防衛に軍事的に関与するか?」と記者に問われ、「イエス(当然だ)」「それがわれわれのコミットメント(約束)だ」と応じた。