国の新型コロナウイルス対策の持続化給付金をだまし取ったとして東京国税局職員の塚本晃平容疑者(24)ら9人が逮捕された事件。舞台となったのは暗号資産(仮想通貨)のマイニング(採掘)事業への投資セミナーだった。専門家は「以前から怪しい投資案件とみられていた」と指摘する。
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■発案者との接点
塚本容疑者らは大学生ら約200人に詐取させた給付金の約2割を手数料として徴収し、申請に必要な確定申告書の偽造を担当した元国税職員の中村上総(かずさ)被告(24)=詐欺罪で起訴=らと分け合っていた。
残り約8割を暗号資産事業「マイニングエクスプレス」への投資名目で預かっていた。資金の大半はアラブ首長国連邦(UAE)のドバイに出国した30代の男に渡ったとみられるが、実際に投資されたのかは分かっていない。
塚本容疑者と、不正受給の発案者とみられる元大和証券社員の中峯竜晟(りゅうせい)被告(27)=詐欺罪で起訴=らの接点は「マイニングエクスプレス」のセミナーだった。
マイニングとは、暗号資産の取引を記録する作業への報酬として暗号資産を得る仕組みで、高性能のコンピューターや大量の電力を必要とする。