今回は久しぶりに古いマンガの調査依頼だ。
「子供時代に読んだマンガを探しています。前回の東京オリンピックよりも少し前、実家の近所にあったもんじゃ焼きのお店に、『サザエさん』などと一緒に置かれていたマンガです。ロボットが兵隊になる、というギャグもので、戦前か戦中のマンガかもしれません。絵も少し古風だったことを覚えています。先日、緊急入院したときに突然ベッドの中で思い出して、退院後もずっと気になっています」 (68歳・嘱託)
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依頼人が探しているのは前谷惟光の『ロボット三等兵』で間違いないだろう。「戦前か戦中のマンガかも」と書いているが、戦後のマンガで、オリジナルは1955年から57年に、描き下ろし単行本全11巻で寿書房から刊行。58年からは講談社の月刊誌『少年クラブ』に移籍して62年まで連載された。
トッピ博士が苦心のすえ完成させたロボット1号が主人公。ロボットのくせにドジで間抜けな、落語に登場する与太郎ようなキャラクターだ。その行く末を案じたトッピ博士は、ロボット1号を日本陸軍に入れることにした。ところが、軍隊の試験官は「めいよある日本陸軍にロボットの兵隊などとれるか」とつれない。結局、特別入隊が認められたが、階級は一つ星の二等兵よりも下、星なしの三等兵だった。