NPO法人空家・空地管理センターは、「放置空き家を無くす」という理念のもと、空き家所有者に寄り添い、空き家に関するさまざまな問題を解決できるワンストップサービスを提供している。上田真一代表理事に話を聞いた。
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新聞・雑誌等で「空き家問題」というキーワードを目にする機会が増えていますが、私は、「2種類の空き家問題」が存在していると考えています。
1つ目は、「増え続ける空き家の問題」です。グラフは、総務省の調査や野村総合研究所の資料をもとに当センターが作成したものです。2018年現在の全国の空き家の数は約846万戸。年々右肩上がりで増加しており、2038年には、約3戸に1戸が空き家になると予測されています。その背景には、高齢化の問題があります。持ち家で1人暮らしをしていた高齢者が介護施設に入居したり、亡くなったりすると、その家は空き家になります。
また、今後40年ほどかけて、わが国の人口は3700万人程度減少するといわれていますが、住宅のストックは、過去20年間で120万戸程度増えており、今後20年間でも100万戸程度増える見込みです。高齢化問題が深刻化していく中で、空き家問題も急激に悪化していくと予想されています。空き家が増えると、街の活力がなくなるだけでなく、住民の減少に伴う税金や使用料などの収入の減少により、公共のインフラが維持できなくなる可能性もあります。