お見合いサイトで出会った自称〝海外育ちの30代日本人女性〟に、一度も対面せぬまま1000万円をだまし取られた四国在住の農家、60代男性。言わば、結婚詐欺被害に遭ったわけだが、「色ボケ」というなかれ。これぞ全国で被害者が続出している組織的「国際ロマンス詐欺」の典型的手口なのだ。
詐欺事件に詳しい加藤・浅川法律事務所の加藤博太郎弁護士が明かす。
「コロナ禍以降、私のもとにもこうした(詐欺の)億単位の被害相談が複数件きています。最近は、特に中高年男性がターゲットにされている」
ある犯罪組織の〝周辺人物〟であるA氏は、巧妙に仕組まれた国際ロマンス詐欺の手口を明かす。
「特殊詐欺の組織は、出会い系サイトに登録してカモを探す、いわゆる『打ち子』を大量に抱えている。最近、この打ち子になるのは、コロナ禍でバイトや仕事がなくなった留学生や外国人技能実習生が多い。普通の詐欺なら日本語が堪能でないと使えないけど、外国人や海外育ちの日本人を演じさせる国際ロマンス詐欺なら、カタコトでも不自然ではないので好都合」
信用を獲得したらFX(外国為替証拠金取引)や仮想通貨への投資を勧め、取引業者を紹介するというのがパターンだ。
「そこで紹介される業者も架空で、グル。業者が提示する相場の値動きは実際の市場とは関係のない架空のもので、最初は儲けさせ、自信をつけたカモに大金を投入させたところで一気に損をさせたり、適当な理由で口座を凍結させたりして金を奪う」