「『宿が命』と書いて宿命」と話すのは、アパホテルなど国内外でホテルチェーンを展開するアパグループの元谷一志社長兼CEO(51)。幼いころから父で創業者の元谷外志雄会長の後継者として育てられ、経営者への道も宿命だと感じているという。創業51年の会社と同じ年に生まれた新CEOは、4月からの新たな経営体制で、「より良いホテル」へ進化を続けると意気込む。
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――社長兼CEO就任のいきさつは
「3月15日に元谷会長(当時代表)に『4月から代替わりだ』と言われました。50年連続黒字を計上し、新しい時代に移行したいということで、快諾しました。前日の3月14日が会長と元谷芙美子アパホテル社長の結婚記念日だったので、そのときに話し合われたのかなと思っています」
――仕事の内容は変わりましたか
「全国のホテルの事業計画の立案、改装計画や営業の企画、広報戦略、出店戦略などを最高経営責任者として経営判断していくことになります。日本の人口が減少するなか、ホテル業界はコロナ禍終息後、訪日外国人需要が期待できるため、将来的な展望は明るいと考えています」
――経営するうえで守っていく部分は
「『進化するアパホテル』というところですね。一例を挙げると、いまではWi―Fi完備のホテルがスタンダードですが、10年前はそうではありませんでした。Wi―Fiが付くと、デスクではなくベッドで仕事をするようになったので、ベッドの上を明るくするシーリングライトの設置を開始しています」
――常に改善を進めていくということですね
「『Even Better! APAHOTEL』というキャッチフレーズを掲げています。良いものをさらにより良くという意味が込められています。北米で展開する『コーストホテル』も温水洗浄トイレや大型テレビ、バスタブを導入するなどアパホテルの要素を入れていくことで、北米のお客さまに満足していただいています」