電力不足が懸念されるなか、札幌地裁は北海道電力泊原発1~3号機の運転を差し止める判決を出した。一方、島根県の丸山達也知事は中国電力島根原発2号機の再稼働に同意した。
北電を相手取った訴訟の判決で、谷口哲也裁判長は「基準で求められている津波防護施設が存在しない」と運転差し止めを命じた。廃炉措置については「廃炉まで必要な具体的な事情はない」として認めなかった。
泊原発の1~3号機は2011年3月の東日本大震災後、順次停止したが、北電は13年7月の国の新規制基準施行と同時に再稼働を申請。現在も原子力規制委員会で審査が続いている。
原告らは11年11月に提訴、10年余りにわたる裁判で、積丹半島西岸付近に海底活断層があるか、防潮堤が最大想定の津波を防げるかなどが審理された。
その判決が今回出たが、確定しない限り再稼働を止める効力はない。
原子力規制委員会も司法も、再稼働しない場合の社会的コストを考慮しているとはいえない。約10年にわたって審査や審理をしているが、その間、再稼働していないので、電力料金の高騰やブラックアウト(大規模停電)のリスクもある。
本当に安全性だけを考慮するのであれば、原発はない方がいいのだろう。だが、それでは、電力供給という社会的使命が達成できない。