ロイド・オースティン米国防長官と、中国の魏鳳和国務委員兼国防相は10日、アジア安全保障会議(シャングリラ対話)に出席するため訪問したシンガポールで会談した。最大の焦点である「台湾問題」では、オースティン氏が情勢悪化の回避を呼びかけたが、魏氏は「いかなる台湾独立のくわだても断固粉砕する」「中国軍は戦うことを惜しまない」などと、戦争も辞さない強硬発言を放った。
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昨年1月のジョー・バイデン米政権発足後、米中の国防トップが対面で会談するのは初めて。
台湾問題をめぐっては、バイデン大統領が5月の来日時、台湾への軍事的関与について記者に聞かれて、「イエス(当然だ)」「それが、われわれのコミットメント(約束)だ」と語った。
米国の「あいまい戦略」の転換とも受け止められ、中国側は猛烈に反発し、米高官らが火消しに走った。
この日の会談でも、オースティン氏は「一つの中国」政策を維持しているとする米側の立場を説明したうえで、台湾海峡の平和と安定の重要性を指摘し、中国による「一方的な現状変更」をいさめた。