財務省が公表した2021年末時点の日本の「対外純資産」は411兆1841億円で、前年比15・8%増となり、2年ぶりに過去最大を更新した。
対外純資産は、国内の企業や個人、政府が海外に持つ「対外資産」から、海外投資家などの日本への投資を示す「対外負債」を差し引いたもの。円安になり、企業や政府などが海外に持つ外貨建て資産の評価が、円換算額で膨らんだことが主な要因。日本は31年連続で世界最大の純債権国となった。
これ、膨大なカネが海外の資産に向かい、日本に投資するメリットは海外に比べて少ないということ。ある意味、悲しい話だ。
日本以下、ドイツ、香港、中国の順で対外純資産が多い。逆に、世界最大の純債務国は米国で、対外純債務残高は約2067兆円に上っている。英国、フランスも対外純債務残高が高い。米国には投資機会が豊富でほかの国の企業、人間にどんどん投資させている。ユニコーンはデカコーンが多く、リスクもあるが富を生む事例に事欠かない。
一方、日本人は余ったカネを貯金に回し、銀行はそれで国債を保有し、それを日銀が買い入れて同じ額の紙幣を発行するという流れ。それでも余った部分が海外投資に回っている。で、対外純資産は増え続けるということになる。
ま、リターン(利益率)がそこそこあるので、国内に置いておくよりもマシ、ということになる。そこにさらに円安が追い打ちをかけ、数字上は魅力が増したわけだ。ということで、投資は海外に向かう。その半面、日本への投資はホテルなどに限られ、新しい産業に対してはまだまだ少ない。