今年11月に十三代目市川團十郎白猿を襲名することになった歌舞伎俳優、市川海老蔵(44)。めでたい話にもかかわらず、聞こえてくるのは不穏な話ばかり。そんな不評の舞台裏に芸能文化評論家、肥留間正明氏が迫る。
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今年11月から12月にかけて東京・歌舞伎座で行われる團十郎襲名披露公演はコロナ禍で2年以上も延期されていただけに、その喜びは大きい。
だが海老蔵を取り巻く周辺はなぜか騒がしい。「週刊女性」は、この襲名披露に大御所的存在の尾上菊五郎や片岡仁左衛門、坂東玉三郎らが協力的ではないと報じた。
團十郎襲名といえば歌舞伎界あげての一大イベントといえる。これに大御所たちが協力的でないとはなんとも不可解だ。協力しなければ、その矛先は大御所たちに向けられるだろう。協力しないわけはない。歌舞伎界にとってもドル箱的な襲名なのだから。
1985年に行われた先代の十二代團十郎の襲名披露興行では当時で30億円にのぼる興行収入をもたらしたという。十三代目の襲名披露も、もともとは歌舞伎座から京都の南座、大阪、名古屋、福岡など2年間にわたって全国的な興行が企画されていたほどだった。
なるほど、これだけの規模ともなれば、周囲が騒がしくなるのも当然のこと。しかし、その原因は歌舞伎界の見込み違いがあったといえる。