コロナ禍による外出自粛や店舗の一時休業などの影響で売り上げが激減したファッション業界。矢野経済研究所によると2020年の国内アパレル市場は前年より2割近く縮小し、約7兆5000億円に。ネット通販が急拡大する一方、リアル店舗は大きな打撃を受け、いまだ回復策を模索中だ。
そんななか、JR大阪駅に直結する駅ビル「ルクア大阪」に、リアル店舗の逆襲ともいえる新たなサービスの店舗が誕生した。5月26日に開業したシェアブティック「E SALON」(イーサロン)は、ルクア館内の加盟店のなかから複数ブランドの洋服を10点まで試着でき、その場で購入できるのが特徴。各店で好きな洋服を見つけたら商品タグを撮影して専用アプリの試着リストに登録するだけ。E SALONのスタッフがフィッティングルームまで商品を運んでくれるので、指定時間になると広々とした空間でゆったりと買い物を楽しめる。
「コロナ禍によって消費者は、リアルな店舗で味わえる買い物の楽しみを失った。店側も失った売り上げを回復させるため、販売代行業の経験を生かし、お客さまに新たな購買価値を提供し、消費を呼び戻したい」と、E SALONを運営するSRL(本社・福岡市)の新田寛之社長は意気込みを語る。
加盟店は現在約50店舗。ジャーナルスタンダードやスピック&スパン、アーバンリサーチなどの人気ショップが名を連ねる。多くのテナントが集積する商業施設が、ブランドの垣根を越えて顧客第一のサービスを提供するのは画期的だ。ルクア大阪の河原畑俊一営業部次長は「お客さまの〝こうだったらもっといいのに〟という思いを実現するために導入した。ファッションやショッピングの楽しさを向上させる存在になってほしい」と期待を寄せる。