一時期、「プロ経営者」というものがもてはやされた。いくつもの企業を転々と渡り歩く経営者たちのことである。
確かに、企業が危機に陥ったときなどに、ワンポイントリリーフで、メインバンクをはじめとする関係先から「出向者」がやってきて、会社を「実質的に取り仕切る」ということは昔から行われてきた。
会社の経営危機の原因が放漫経営であれば、これはかなり合理的なやり方だ。
放漫経営を行っていた当事者である既存経営者よりも、外部からやってきた第三者の方が、より厳しく問題点を暴き会社を正常化できると考えられるからである。
しかし、この場合はあくまで「ワンポイントリリーフ」が原則である。問題点が解消された後には、社内の「しかるべき人物」にバトンタッチすべきだ。
なぜかといえば、放漫経営などの問題点は外部から来た人間にもよく分かるし、改善のための方程式は普遍的だから、会社のことをよく知らなくてもできる。