楽天証券が5月30日に販売を始めた「楽天モバイル債」が販売終了の6月10日を待たずに完売した。楽天グループが発行し、円建て3年物で利率は年0.72%。利息ほぼゼロに慣らされてきた個人投資家が飛びついた格好だ。
発行総額は1500億円。1口50万円からの販売で、2口で元本100万円なら、半年ごとに税引き前3600円の利息を受け取れる。満期まで3年間の受取利息は合計2万1600円だ。
海外はインフレ加速に対応するため利上げラッシュに追い込まれているが、物価上昇率が欧米より低い日本は金融緩和が継続中。個人向け国債の3年固定型で0.05%、メガバンクの3年定期預金で0.002%と利息もゼロ%に限りなく近い水準にとどまる。
利回り0.5%を超える円建て商品は大人気だが、著名企業による個人向け社債の発行予定は当面なさそうだ。「日銀が金利を上げそうになると機関投資家が社債を買い控えるため個人向けの発行が増えそうですが、今はそんな様子は全くありません」。楽天モバイル債は掘り出し物だったかも。
【2022年6月10日発行紙面から】