カンヌ国際映画祭で最高賞のパルムドールを獲得した世界的な映画監督の是枝裕和さんらが、映画業界の改革に乗り出した。しかし、その道のりはかなり遠い。
是枝監督ら映画監督有志が記者会見し、業界の労働環境改善に向けた共助システムの構築を目指す団体を設立したことを明かした。フランスの「国立映画映像センター(CNC)」を念頭に、名称は「日本版CNC設立を求める会」とした。
映画界で被害が相次ぐハラスメント防止に関するガイドラインの草案も作成する。これは、映画界に特化した内容で「オーディション目的でも(俳優に)個室に1人で来るように要求してはならない」「暴力や性的接触があるシーンを撮影する場合、監督と俳優は同等な地位で参加すると周知する」などの具体策を盛り込んでいる。
是枝監督は「業界が一枚岩になって共助のシステムを作る」と意気込むが、ある映画関係者は冷ややかだ。
「正直、業界内ではハラスメント対策に及び腰の人が多い。パワハラ体質は根深く、いまだに頭ごなしに人を怒鳴りつける大物監督もいます。そういう人たちは性被害報道についてもゴシップにすぎないと見なしているのです。意識が低い状況では足並みが簡単にそろうとは考えがたい」