毎週土曜日深夜12時30分からBSフジで放送しているのが、「VOICEアクト『僕の種がない』」です。
この番組は、鈴木おさむの小説「僕の種がない」(幻冬舎刊)を朗読コンテンツ「VOICEアクト」としたもの。「不妊」というテーマを、男性の問題として描いていく物語です。
ドキュメンタリーディレクターの勝吾は、がんで余命半年の宣告をうけた芸人・一太に、死までの姿を追ってほしいと依頼されます。「おもしろさ」にこだわり続ける一太に対して勝吾は、子供のいない一太夫婦に子供を作ることを提案します。しかし、一太は実は無精子症だった…、というのがこれまでの物語の大筋です。
18日の放送は第5話。精子バンクを利用して子供を授かった拓海と響子の夫婦。響子の出産を前に、勝吾のディレクターとしての好奇心が音を立てる。無事お産が終わり、新しい命を抱いて涙を浮かべる響子と、隣で顔を覆って泣く拓海に勝吾が問いかける。「今、奥さんから生み出された命の顔を見て、どう思いますか?」
ハッキリと申し上げましょう。重いです。ヘビーです。同じ意味の言葉を重ねて言ってしまうくらいの重量級です。特に、朗読であるということがこの物語の重さをさらに引き出しています。中途半端な映像で見せられるより、うまい読み手が想像力をかき立ててくれる方が、よほど効果的なのです。これは落語と同じですね。