食品や日用品が値上げラッシュのなか、低価格のアイデア商品がそろう100円ショップの動向に注目が集まっている。商品の調達コストが高くなり、一部商品が販売休止となる可能性があるほか、すでに閉店に追い込まれる店も出てきた。一方、大手を中心に〝脱100円〟の高価格商品に活路を見いだすチェーンも増えている。
「円安や原材料の高騰などで一部商品の仕入価格の値上げが起きている。100円ショップなので販売価格の値上げができず、一部販売を休止する商品が出る可能性もある」
ある100円ショップチェーンの担当者はこう明かす。
帝国データバンクが4月に発表した業界動向調査によると、100円ショップの市場規模は2019年度の8722億円から21年度に9500億円に成長。店舗数も19年の7687店から22年2月末時点で8400店に増加した。1人当たりの月間購買額も21年度は平均635円で、11年度の390円から約1・6倍に伸びるなど好調だが、ここにきて逆風が強まっている。
流通アナリストの渡辺広明氏は「中国に生産拠点を置き、低価格販売を実現させてきた企業は、中国で賃金が底上げされたことでコストが高騰している。さらに円安や原油高などの要因も重なり、100円均一のビジネスモデルは成立しえない可能性もある」と解説する。