今夏の参院選(22日公示、7月10日投開票)では、与党の大勝が予想され、「凪(なぎ)」といわれてきた。焦点は、立憲民主党と日本維新の野党第一党争いぐらいとみられていたが、情勢が変わってきた。
19日行われたフランス国民議会総選挙での「与党大不振」や、岸田文雄内閣の支持率低下に見られるように、「物価上昇」と「ロシアによるウクライナ侵攻での〝岸田八方美人路線〟」が、思わぬ落とし穴となる可能性が出てきた。
冷戦が終わって一世代の年月が流れ、ロシアによるウクライナ侵攻など、従来の「保守(右派)」と「革新・リベラル(左派)」の枠組みでは捉えきれない政治地図が、世界でも日本でも生まれていることを象徴する選挙だといえる。
ただ、現実に目の前にある状況は、「民主主義」「人権」「市場経済」といった自由陣営の勝利と胸を張って歓迎できるものでなく、世界は混乱の極みにあり、行き過ぎた円安や深刻な少子化に象徴される、経済大国としての「日本の断末魔」が繰り広げられている。
今週の連載では、「危機の本質」と「政界地図の変化」を世界的視野から踏まえて眺めていくが、第1回の本日は、現在の日本の諸政党が世界における政治の常識からいって、どのような位置付けにあるかを明らかにしたいと思う。
与党が参院選で楽勝と言われるのは、岸田内閣が経済社会政策ではリベラル色が強く、しかも既得権益を脅かしたり、反対が一定割合ある政策は避ける路線をとり、野党支持者からもかなり高い支持を得て、左派・リベラル系野党が攻めあぐねていることが主たる理由だ。