ウクライナ情勢などの影響を受けた「物価高」に加え、国民生活と企業活動を直撃する「円安」が追い打ちをかける。まさにダブルパンチだ。
インフレを抑えようと利上げを重ねる米連邦準備制度理事会(FRB)と、大規模金融緩和を続けようとする日銀とでは日米金利差は開くばかり。これに由来する円安が進み、先週初めの円相場は1ドル=135円台という24年ぶりの円安水準をつけた。
日銀は、物価高を抑えるために利上げで金融引き締めに転じると、コロナ禍で体力の回復が遅れている日本経済を冷え込ませてしまうため、思い切った物価対策が取れずジレンマに陥っている。
また、夏本番の電力需要が高まる時期に、発電所の稼働がさまざまな要因で制約されて供給不足が懸念されている。熱中症を招かないよう注意が必要だ。
岸田文雄内閣の支持率はまだ高いが、物価高に対する円安要因は政府が4月26日に決めた「総合緊急対策」の後も拡大しているため、予断を許さない。
物価対策で日銀に当分期待できない以上、岸田内閣は必要に応じて、補正予算の「新型コロナウイルス感染症及び原油価格・物価高騰対策予備費」の5兆円を機動的に活用すべきである。6月30日から受付が始まるマイナポイント1人最大2万円も消費者を助ける。