またカルシウムは骨密度を維持する上で不可欠な成分なので、これも単に取らなければいいというものではありません。
一方でアルコールについては、それ自体が腎臓に直接的にダメージを及ぼすという物ではないので、糖尿病でカロリー制限がかかっている人でなければ、「適量まで」の条件付きで飲むことは可能です。とはいえ、適量で止めるには強い自制心が必要ですし、お酒を飲んでいるといろいろと食べたくなるものなので、飲まずに済むなら最初から飲まないほうが安全でしょう。
このように、腎臓の病気には「制限」が付きまとうことから、患者さん本人はもちろんですが、その家族にも手間を取らせることになります。
ただ、腎代替療法を必要とするレベルに腎機能が低下することを遅らせるための治療技術は向上しています。特に糖尿病は、一昔と比べて病気のコントロールが上手にできるようになっており、腎代替療法への移行時期が遅くなる傾向になっています。
主治医とのコミュニケーションを密に取り、病気の進行を少しでも遅らせるように努力してください。 (構成・長田昭二)
■中元秀友(なかもと・ひでとも) 1983年、慶應義塾大学医学部卒業。日本鋼管病院、足利赤十字病院勤務を経て、現在、埼玉医科大学病院総合診療内科診療部長・腎臓内科教授。日本透析医学会、日本腎代替療法医療専門職推進協会理事長。