岸田文雄首相の政権運営は及第点だが、自民党は決して油断できる状況ではないと、前回のコラムに書いた。
防衛費はGDP(国内総生産)比2%でも足りない状況で、多くの国民は危機感を抱いている。岸田首相は防衛費を5年以内に増額する方針のようだが、GDP比2%という数値目標は「NATO(北大西洋条約機構)加盟国が目標にしている」という表現で、「日本的な玉虫色」を感じる。
「政界屈指の親中派」を外相にしていることや、岸信夫防衛相が求めた防衛事務次官の続投を蹴るなど、岩盤保守層を中心に岸田首相に不満を持つ人々も増えているようだ。
ここで、岸田首相が岩盤保守層の信頼を取り戻すには、憲法改正を現実的に前進させるしかない。参院選を経て、衆参両院で改憲勢力が3分の2を超えれば、早期に憲法改正の国会発議を行い、改正を実現することだ。それが改憲勢力の責任であり、逃げることは許されない。
与党内に慎重派もいるが、国民の投票結果を無視するなら、支持は得られないだろう。岸田政権は肝に銘じておく必要がある。
■ケント・ギルバート 米カリフォルニア州弁護士、タレント。1952年、米アイダホ州生まれ。71年に初来日。著書に『儒教に支配された中国人・韓国人の悲劇』(講談社+α新書)、『トランプ大統領が嗤う日本人の傾向と対策』(産経新聞出版)、『日本覚醒』(宝島社)など。