2025年に高齢者の約5人に1人がかかると予測される認知症。誰しも加齢とともに、「できないこと」が増えていく。にもかかわらず、「温厚な人だったのに怒りっぽくなった」「新しいことに興味を示さなくなった」といった身近な人の変化にはショックを受けがちだ。では、認知症患者には世界がどう見えるのか。それを知れば、接し方やケアがわかるのではないか。そんな視点から生まれたのが、『マンガでわかる「認知症の人には、こんなふうに見えています」』(宝島社刊)である。
◇
脳内科医の加藤俊徳医師が1万人以上のMRI画像による症例をもとに、「軽度・初期」「中程度」「やや重度」「重度」の段階別で日常生活の困りごとをマンガ化した。どれもがリアルでわかりやすい。
一例を紹介しよう。
■軽度・初期症状1 「時間に厳しかったのに『すっぽかし』が増えた」
【見えている世界】約束を忘れ、カレンダーにメモすることを忘れていたことに気づくのは、「ただの物忘れ」。一方、「軽度認知障害」の場合、町内会の予定を忘れており、カレンダーを見ると記入されているが、「この集まりっていつ決まった? 俺はカレンダーに書いたのか?」と、自分の行動自体が思い出せない。
【家族の接し方】同じことを繰り返し言ったり聞いたりするのは不安の表れ。「さっきも言ったでしょう!」と厳しく言うと、不安をあおってしまう。「私が代わりに覚えておくから」と寄り添ってあげることが重要。