6月15日に国会で可決されたAV新法の影響で急いで契約書を書く日々が続いている。出来上がった契約書にサインするだけの女優に比べて、契約書を作ったり撮影の予定を組んでいる制作メーカーの方々は本当に大変だろうと思うけれど、それにしても働いている私たちがよくわからぬまま、あれよあれよと法律が決まってしまったなあという感じがする。被害者女性を守るのは大変結構なことなのだけれど、私は4年間AV業界で働いていて被害者だという女の子に会ったことがないし、むしろ仕事が欲しいのになかなか仕事がなくて悩んでいる子の方が圧倒的に多いし、本当の性被害はほとんどが適正AVの外側で起こっていて、この法律で守られるものって一体何なんだろうかと思う。しかし権力を持っていない人間にとって、大きな流れを変えることはやっぱりとても難しいので、私たちは法律に従いながら何とか活路を見出していくしかない。
話は変わるが、『チョコレートドーナツ』というずっと気になっていた映画をこの前ようやく観ることができた。1970年代のニューヨークでゲイのカップルが障がいのある子供を育てようと奮闘する映画なのだが、ゲイであることが彼らの人生にあらゆる困難を招いてしまう。まだ見てない人はぜひ一度見て欲しいのだけれど、50年前のアメリカでは同性愛者に対する偏見や差別がこんなにもあったのかということにも驚くし、それは世界中で今でも多かれ少なかれ続いていることだということも認識しなければいけない。日本において私の世代で同性愛者を偏見の目で見たり異常だと思う人はかなり少ないと思う。しかしそれは私の周りの話であって、日本で同性愛者の結婚が認められる日は近くはなさそうだし、彼らを差別的に思っている人はまだまだ沢山いる。