ここに来て将棋を指すことはないが、解説会や就位式には行きたいという将棋ファンの「観る将」、また将棋界に興味があり、本やSNSで棋士や将棋界のことを知りたい「知る将」が増えてきた。
名人戦が指されているホテルで、女性だけの行列ができているから、今日は何の会があるのかと思ったら、将棋の解説会だったことを知って、驚いたことがある。
また叡王戦での「見届け人」制度は、立会人と同じように対局の開始や感想戦などを対局室で見られ、別室で棋士の解説や指導対局を受けた上に、色紙や対局した駒がもらえるスペシャルな企画で、金額も高額(3桁)だが、これに多くの女性が応募している。
そういう人のために、私は今まで何冊か出版しているが、今回紹介したいのが『将棋・棋士の素顔――知られざる千駄ヶ谷の魔境』(マイナビ出版)である。過去の本欄から抜粋し、加筆訂正したものが8割程度で、後は静岡新聞や雑誌『将棋世界』に掲載したエッセーを載せている。
私が将棋界に入って50年以上(奨励会から)の間、見聞きした棋士のエピソードや対局の裏側、また大山康晴15世名人、米長邦雄永世棋聖といった大御所から、羽生善治九段の世代まで、A級順位戦で戦っただけに、棋士の勝負観はよくわかっていて、それらを載せている。将棋界に興味のある方には、是非読んでほしい。