新書のきゅうしょ

100円均一に並ぶ〝五木〟本と、五木が150円で売った古本 「日記―十代から六十代までのメモリー―」 五木寛之著(岩波新書、1995年)1/2ページ

「日記」表紙
「日記」表紙

東京の渋谷古書センターは私が高校時代からしばしば通った店だ。1970年代、その周囲は昭和の流行歌手の興行看板のかかる大箱キャバレー「エムパイア」や、ストリップの「渋谷OS劇場」があり歓楽街の極みだった。ネオンに灯が灯る頃、店頭の格安本の棚から購入書を選んだものである。

久しぶりに立ち寄ったら1階の書店が6月末で閉店するという。その日、店頭の100円均一棚から購入したのが五木寛之の『日記―十代から六十代までのメモリー―』。大ファンなので読みつくしたかと思っていたがまだ未読書があった。

パラパラめくると、日記の一行一行からかつて読んだ著書の数々が思い出されてくる。1948年、十五歳の日記には「僕の最大の欠点はあまりに口が軽すぎること」とある。作家になってからも五月革命やスペイン戦争、非定住民、タンゴから大衆的なレビューショーまで関心分野の広い彼には対談書も数多い。私もほとんどを読んだ。

野坂昭如との「対論」、羽仁五郎などと討論した「箱舟の去ったあと」、井上陽水との対談本「青空ふたり旅」などなど。「午前零時の男と女」では、植草甚一や浅川マキ、「話の特集」編集長の矢崎泰久までと語りあっていた。

また同じ十五歳時には友人と共産主義と文学を論じあい「僕は、完全なる平等はあり得ぬと思ふ。人の欲望が失なはれぬ限り」と記す。そのくだりを読むと、小説『蒼ざめた馬を見よ』で自由主義陣営とソ連との文化闘争の裏にはりめぐらされた罠に主人公のジャーナリストがはまる秀逸なプロットを思い出す。私もまんまとひっかかった。

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