久留米競輪開設73周年記念(GⅢ・第28回中野カップレース)は28日、第12Rで決勝戦が行われ、北津留翼(福岡)が4角一気でV。2017年5月宇都宮以来、通算6回目のGⅢ制覇を飾った。完全Vを狙ったS級S班郡司浩平(神奈川)は2着に惜敗し、3着は伊藤颯馬(沖縄)が入線した。
九州の結束力が個の力を押しのけた。阿部将大(大分)が赤板過ぎから迷わず主導権を握ると、伊藤颯が2角からためらうことなく番手まくり。これで3番手回りの北津留に〝お膳立て〟が整った。4番手の伊藤旭(熊本)をさばいた郡司が内をえぐってきたが、最後は地元の意地で差し比べを制圧した。
「一番優勝に近い3番手を回してくれた後輩のおかげ。競輪祭の権利がなかったのでうれしい。誘導員になるところでしたけど、助けてもらいました(笑)」
当所は昨年10月熊本記念in久留米決勝で先頭役を買って出て、新鋭・嘉永泰斗(熊本)の記念初優勝を力強くアシストした舞台。〝九州から優勝者を〟という熱い思いは、その背中を通してホープたちにも伝わったに違いない。「若手が育ってくれると、ラインが生きる」。その布石が、巡り巡って約5年1カ月ぶりのGⅢ制覇につながった。
「高1の頃とかは、中野さんを研究してスプリント種目をやっていたので、ここで勝ててうれしい。競輪祭の権利が手に入ったので、優勝することを目指して後半戦も頑張りたい」
表彰式で憧れの中野浩一さんと並び、はにかんだ。勝ち上がりでは上がり10秒台を連発したように、スピードは誰もが認めるGⅠクラス。規格外の破壊力と九州の結束力を融合させて、大舞台でも輝きを放つ。