年を重ねれば体力が低下し気力も衰える。腰が痛いなど体の状態がよくないと、外出することすらおっくうになりやすい。この状態から歩かない、家から出ない、食事量が減るといったパターンにはまると、その先に「フレイル」(心身の虚弱)が待ち受け、寝たきりへつながる恐れがある。
「フレイルになると要介護化リスクが高まります。それを防ぐには、①定期的な身体活動、②多様な食品摂取、③社会交流を組み合わせて実践することが大切です。70代以上になっても働き続けることは、社会交流を維持する、あるいは、身体活動量を増やすために役立つと思います」
こう話すのは、東京都健康長寿医療センター研究所 社会参加と地域保健研究チームの清野諭主任研究員。今年4月、「身体活動・多様な食品摂取・社会交流 3つがそろうと介護予防効果は顕著に高まる」と題した論文を国際誌に発表した研究チームのメンバーだ。
「これまでの研究で、3つが介護予防に効果的なことは示されていましたが、組み合わせて実践することで介護予防効果がどの程度高まるのかは、明らかになっていませんでした。単独よりも3つの組み合わせで、リスクをさらに低減できることが今回の研究でわかりました」
この研究では、都内の65~84歳の男女約7800人を対象に、約4年間の追跡調査を行った。先に紹介した①~③の3つを全く実践していない群を基準とすると、3つのうち1つを実践している群では要介護化リスクが18%減、いずれか2つで35%減、3つ実践すると46%減少していた。