ロシアのプーチン大統領は30日、訪問先の中央アジア・トルクメニスタンで記者会見し、北欧フィンランドとスウェーデンの加盟を認めた北大西洋条約機構(NATO)首脳会議の合意について、両国にNATOの軍事施設が置かれれば相応の対抗措置を取ると恫喝(どうかつ)した。
NATOは29日、スペインで首脳会議を開き、ロシアの脅威に対抗するため即戦力のある部隊の東欧への追加派遣を表明した。今後約10年間の指針となる新たな「戦略概念」も採択し、ロシアを現行の「戦略的パートナー」から大きく変更し「最大かつ直接の脅威」と明記した。
これに対し、2月のウクライナ侵攻後初の外遊となったプーチン氏は、タジキスタンに続いて訪れたトルクメニスタンで記者会見。NATOを「冷戦時代の遺物」と敵意むき出しで、新たな戦略概念について「結束のための口実で、何の新しさもない」と指摘した。
外遊で健在ぶりをアピールする狙いもあったとみられるプーチン氏だが、ウクライナ侵攻でNATOの勢力拡大を招いたことに焦りの色もうかがえる。
ウクライナを軍事支援する欧米については「目的はウクライナ支援ではなく、覇権主義の野心のためだ」と批判。ウクライナでの軍事作戦では、期限を区切ったり急がせたりするのは正しくないと述べて、長期戦となる可能性を示唆した。