参院選(10日投開票)では、与野党とも大物・著名議員が応援弁士として全国を駆け回っている。昨年退陣した菅義偉前首相も6月30日、埼玉県飯能市の街頭演説に現れた。「仕事師内閣」を率いて、新型コロナ対応や、東京五輪・パラリンピック開催、携帯電話料金引き下げ、デジタル庁設置などを成し遂げた菅氏の話を聞きに、多くの聴衆が詰めかけた。 (報道部・海野慎介)
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「昨年の今ごろ、新型コロナの中で私自身は極めて厳しい状況だった。緊急事態宣言の繰り返し、次から次へと起こる新しい事案で、厳しい決断を余儀なくされた」
炎天下の西武飯能駅北口。菅氏は集まった100人以上の人々を前に、首相在任当時をこう振り返った。
菅氏は、最大の懸案だったワクチン接種の態勢整備について、「『できるわけがない』とか、『ワクチン一本足打法』『いつ100万回接種するか言え』などと非難された」「しかし、予想をはるかに上回るスピードで接種が進んだ」などと強調した。
ロシアによるウクライナ侵攻を念頭に、安全保障分野での野党批判も飛び出した。
「(民主党政権で)鳩山(由紀夫)さんが首相になり、日米で取り組んできた(米軍)普天間飛行場の辺野古移設について、いきなり『最低でも県外』と言い出した。結果、日米同盟が機能不全に陥った。(民主党政権時代には)中国漁船が海上保安庁の巡視船に衝突してきた。中国の圧力に屈して船長を釈放してしまった。(ロシアのドミトリー・)メドベージェフ大統領が初めて、北方領土に足を踏み入れた。韓国の大統領が島根県・竹島に上陸した」